和くらのこと

大分県日田市・・・大分県西部に位置し、福岡県と熊本県に隣接します。
豆田町と隈町を起源とし、江戸幕府の直轄地「天領」がおかれ、
九州にある幕府領の中心地として発展しました。

和くらの建物は、大正6年築の土蔵です。
明治時代より「ヤマキチ」という屋号で材木商、製材業を営んでいました。
水力発電を利用した電気が日田で初めて入ったのもヤマキチ製材所でした。
日田で一番の製材所として林業界に名を馳せ、昭和天皇巡幸の際は、
当家の2代目である後藤豊三郎が、ヤマキチ製材所を案内しています。
明治20年に母屋を建て、長男が誕生した大正6年に土蔵(現・和くら)を建てました。

その後、代々受け継がれ、同じ山から切り出した木材で1軒の家を作るというコンセプトの、
建築業、宅地分譲業と手を広げた後、外材の圧力や見た目重視、品質軽視等々の時代の流れにより、
昭和63年、今なら誰にも迷惑をかけずに止められる、という、
4代目の判断により、昭和63年に「ヤマキチ」は幕を閉じます。

平成元年、4代目の妻・和子が「寝ている蔵をもう一度起こしたい」と、
大正6年築の蔵で鉄板焼ステーキの店を開きます。

ステーキは元気がでる・元気な人が食べる料理、それが鉄板焼ステーキ。
雑居ビルの片隅から高級ホテルの最上階まで、鉄板焼ステーキは数ありますが、
文化財の蔵の鉄板焼ステーキは多くありません。
前には三隈川が流れ、亀山公園の桜や新緑、銀杏が季節を教えてくれ、
正面に夕日が沈みます。四季折々の借景、そして受け継がれる蔵。

それが、ここ、「すてーき茶寮 和くら」です。

和くらのご案内

のれんをくぐると日田石のエントランス。
平成元年、10m後方へ曳家した際に出た蔵の礎石(日田石)が、
門から玄関までのアプローチに使われています。

川へ出る階段を横目に店内へ。
まず、左のテーブル席でメニューをお決めいただきます。

横木の入った土蔵に漆喰を塗った曲線、
1本の杉からとった2階までの長柱や太い松の梁などずっしりとした本物の古さは、
サイ・トゥオンブリーCy Twomblyの作品やウェグナーHans Wegner、
イサム・ノグチIsamu Noguchiのなどの名作とも調和し、
深く、そして新しい空間を作り上げいます。

茶寮の2階には、棟札(むなふだ=上棟にあたり角材に日付や施工主などを記し棟木に釘留めしたもの)が残り、
棟梁や石工、左官の名や上等日などが記されており、今でも蔵を守り続けています。

準備が整いましたら、スタッフが鉄板席にご案内いたします。
厚さ30mmの鉄板で焼く豊後牛に舌鼓。
正面に沈む夕日に心が立ち止まります。

「古くならずに深くなる」。
“ The genuine article does not become older and rather adds to attraction.“

お食事後は、お散歩はいかがでしょう。川と軒が近く、年代の違う石垣や、汲ん場、太鼓橋や沈み橋など、
かつての文人墨客が賛美した隈町の原風景と趣のある表情をお愉しみくださいませ。
※団体や、パーティー、ライブも承っております。
お気軽にお問い合わせくださいませ。

ヤマキチ後藤家のお雛様

【公開期間】
毎年2月20日過ぎの土曜日〜3月20日過ぎの日曜日まで。

【場所】
和くら隣、母屋玄関にて。

豊三郎が、大正3年(1914)に生まれた孫娘・康子の初節句のために蒐集して調えた雛人形と雛道具の優品約50点を公開いたします。
雛人形は、京都の名店、丸平大木人形店(まるへいおおきにんぎょうてん)で誂えた典型的な明治時代中期の京雛。冠をつけた女雛に代表される、写実性を基調とした端正な面差しと、古典的でありながら華やかな装束が魅力です。

春の訪れを祝い、女の子の健やかな成長を願う「お雛様」が華やかに繰りひろげられます。

小鹿田焼のうつわ

器/小鹿田焼

和くらでは、主に小鹿田焼を使用しています。
独自の強みを丁寧にさらけだす器、小鹿田。

「すぐそばにある、日本民芸の里」

開窯は1700年まで遡る。一子相伝を守り生涯をかけて焼物を作り続ける小鹿田。
1927年、民芸の父、柳宗悦、バーナードリーチが滞在し、その名は全国に知れ渡るようになりました。当然日田の各家庭の食器棚には小鹿田の焼物があります。頑丈さと表面的なデザインに惹かれ「磁器」に走った時代を経て、今、小鹿田焼は様々なライフスタイルで注目されています。

中でも、坂本創さんの器は、盛る人、食べる人、みる人、触る人らの、五感を元気に刺激します。
元来持っている天性に加え、独特の瑞々しい感性、
作品ごとに着実に変化と進歩を続ける若き陶工の「今」の器。
人の手が成し得る「自然」「伝統」「素朴」「機能」の用の美。

そして肩の力を抜くことの大事を想うのです。
和くらにとっての小鹿田はそんな器です。

<文・ふるたかずみ>